認知症高齢者の日常生活自立度とは?表でわかりやすく解説
更新日:2025/04/01

認知症高齢者の日常生活自立度は、認知症の程度を加味して、高齢者がどれくらい自立して日常生活を送れるかを評価するものです。
施設入居や介護サービスの利用前に必要な要介護認定調査にも使われているため、きちんと把握しておきましょう。
【目次】 認知症高齢者の日常生活自立度とは? 認知症高齢者の日常生活自立度の評価基準 認知症高齢者の日常生活自立度の判定時に伝えること 認知症高齢者の日常生活自立度判定を受けた方が入れる施設 認知症高齢者の日常生活自立度を正しく理解して、最適なサービス利用を認知症高齢者の日常生活自立度とは?
認知症高齢者の日常生活自立度は、高齢者の認知症の程度を加味して、どの程度自立して生活ができるかを評価する指標です。
認知症になると理解力や記憶力が低下し、日常生活に支障をきたすため、症状が進行した場合は周囲のサポートが必要です。介護サービスを受けたり、施設へ入居したりする場合は、認知症高齢者の日常生活自立度を基に要介護認定を受けます。
要介護認定で使われる指標には、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)もあります。認知症高齢者の日常生活自立度との違いについては下記の通りです。次の記事でさらに詳しく解説しているため、参考にしてください。

寝たきり度
(障害高齢者の日常生活自立度)
認知症高齢者の日常生活自立度の活用シーン
医療現場介護現場行政認知症高齢者の日常生活自立度は厚生労働省が提案する基準でもあり、様々な場所で活躍しています。
医療現場では、看護計画やリハビリテーション計画を立てる際に参考にしたり、主治医意見書に活用されたりします。介護現場では、ケアプランや通所介護計画、個別機能訓練計画を作る際に、行政面では要介護認定調査項目や介護認定の審査の基準として使用されます。


認知症高齢者の日常生活自立度の評価基準
ランク 判定基準 特徴 Ⅰ 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。 ・少しの指示や助言があれば1人暮らしは可能である。 Ⅱ 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても、
誰かが注意していれば自立できる。 - Ⅱa 家庭外で上記Ⅱの状態が見られる。
・道に迷う
・今までできたことができなくなる
(買い物、事務、金銭管理など)
・服薬管理ができない
・ひとりで留守番できない
(電話対応、訪問者の対応など)
日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さがときどき見られ、
介護を必要とする。
・着替え、食事、排便・排尿が上手にできない、時間がかかる
・やたらに物を口に入れる
・物を拾い集める
・徘徊がある
・失禁する
・大声、奇声をあげる
・火の不始末がある
・不潔行為をする
・性的異常行為をするなど
常に介護を必要とする。 M 著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、
専門医療を必要とする。
・精神症状が現れる
(せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等)
・精神症状に起因する問題行動が継続するなど
参考:厚生労働省「認知症高齢者の日常生活自立度」
認知症が進行して症状が重くなると、ランクⅠからランクⅢへ移行し自立度は下がっていきます。周囲のサポートも必要となり、介護側にも負担がかかるため、介護サービスや施設利用を検討するのがおすすめです。
認知症高齢者の日常生活自立度の判定時に伝えること
認知症の症状の中には、認知症高齢者の日常生活自立度の認定調査項目に含まれていないものもあります。
そのため、下記のような症状があれば別途伝える必要があります。特記事項の項目に記載するなどして忘れずに伝えましょう。
特記事項として伝える症状
幻視・幻聴暴言・暴行不潔行為(排せつした便を触ったり物にくっつけたりするなど)異食行動(食べ物でははないものを口に入れるなど) 認知症による資産凍結のリスクをご存知ですか?早めのご相談を 認知症により判断能力が不十分とみなされると、ご本人にもご家族にも預金がおろせない、不動産を売却できないなど、「資産凍結」に陥るリスクがあります。 備える方法を詳しくみる認知症高齢者の日常生活自立度判定を受けた方が入れる施設
・特別養護老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
・グループホーム
・有料老人ホーム
認知症高齢者は物忘れだけでなく、精神面からくる症状も多いためメンタルケアが欠かせません。快適な環境でないと認知症が一気に悪化する恐れもあり、施設選びは慎重に行う必要があります。
ここでは、認知症高齢者が入れる施設を紹介します。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、介護が必要な方に介護サービスと生活の場を提供する施設です。公的な施設なので、費用は比較的安く、看取りの対応もできます。
特別養護老人ホームの入居条件は要介護3以上です。日常生活のほとんどの場面で介助が必要な状態で、認知症高齢者の日常生活自立度ではランクⅢ程度の方が該当します。

サービス付き高齢者向け住宅
安否確認や生活支援サービスなどを行っている、バリアフリーの賃貸住宅をサービス付き高齢者向け住宅といいます。サービスの内容によって下記表のように分けられます。
認知症高齢者の場合は、一般型ではサービスが不十分に感じることも。認知症高齢者の日常生活自立度がランクⅡ以上の方は介護型を選択するのがよいでしょう。

グループホーム
グループホームは認知症高齢者に特化した、少人数の介護施設です。施設では9人以下の「ユニット」というグループに分かれて生活します。
認知症の症状により日常生活自立度のランクが重いと、他の介護施設から入居を断られるケースも。しかし、グループホームであれば、認知症専門のスタッフが在籍しているため、ランクが重い方でも受け入れてもらえる可能性があります。

有料老人ホーム
有料老人ホームは、高齢者が心身ともに健康な生活を送るための支援をする施設です。認知症高齢者の日常生活自立度判定を受けている方におすすめの施設を表にまとめました。
最適な施設は進行度合いによっても異なります。次の記事で詳しく解説しているので、どの施設がベストか判断する材料にしてください。

・身体介護(排せつや入浴など)
・生活支援(食事、洗濯、掃除など)
・機能訓練
・レクリエーション
・サークル活動 など
介護が必要な人
※認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅡ以上
生活支援は受けたいが、介護は必要ない人
※認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅠ程度
※必要に応じて介護サービスの利用も可能
認知症高齢者の日常生活自立度を正しく理解して、最適なサービス利用を
認知症の症状が進行すると、介護サービスや施設入居を検討する必要が出てきます。認知症高齢者の日常生活自立度を基に、どの程度のサポートが必要か吟味するのがおすすめ。
要介護認定にも使われている指標なので、正しく理解しましょう。
「LIFULL 介護」では、認知症高齢者も入居相談できる施設情報を掲載中。介護を長い目で見たときに、介護側の負担を減らすことも大切です。施設探しの専任スタッフによる相談窓口もあるので、ぜひご活用ください。
この記事の制作者
監修者:山本 武尊(主任介護支援専門員・社会福祉士)
地域包括支援センター 元センター長。介護現場の最前線で業務をすると共に、介護業界の低待遇と慢性的な人手不足の課題解決のため介護に特化した社会保険労務士として開業。現在は介護関連の執筆・監修者、介護事業所向け採用・教育・育成や組織マネジメントなど介護経営コンサルタントとしても幅広く活躍中。